5/13-15、北京で「2017 World Para Athletics Beijing Grand Prix」(北京グランプリ)が開催され、日本からは強化指定選手と一般参加選手合わせて26選手が参加しました。
ドバイ大会同様、開催地がアジアであること、また一般参加が可能であることから、IPC国際クラス分け(※)取得のために参加する選手が多く、今回も多くの選手が初の海外遠征でIPC国際クラス分けを取得しています。
※IPC国際クラス分け
IPC(国際パラリンピック委員会)の基準で障害の程度の判定を受けること。
クラス分けを受けてはじめて公式記録としてランキングに載るようになる。
【参考記事】
北京グランプリに出場した切断・機能障害(障害クラスT/F40台)の選手です。
T/F42(膝上切断クラス)
金井 隆義 100m
兎澤 朋美 100m,走幅跳
牧野 庸平 砲丸投,円盤投
村上 清加 100m,走幅跳
金井選手、兎澤選手、牧野選手は初の海外遠征。
金井選手は非常に珍しいローテーション(漫画「リアル」の主人公、戸川清春と同じ)の選手です。
少なくとも私は、今現在世界で他にローテーションの選手を知りません。
T/F43(両下腿切断)
中村 国一 100m,400m
先の大分パラ陸上100mでアジア記録相当のタイムを出した中村選手、初の海外遠征。
400mを走っているのは知らなかったです。
クラス分けを取得できればアジア記録保持者になります。
T/F44(片下腿切断)
笠松 大聖 100m,やり投
笠松選手、初の海外遠征。
走っていることは知っていますが、やり投にも挑戦しているのですね。
まだ10台の若い選手で、今後に期待です!
T/F47(片上腕切断・上肢機能障害)
芦田 創 走幅跳,三段跳
鈴木 雄大 100m,200m
三須 穂乃香 100m,やり投
鈴木選手、初の海外遠征です。
日本体育大学パラ陸上部、多くの選手を送り出しています。
体育大学がパラ選手の育成にも力を入れはじめたのは大きな変化ですね。
それでは、T/F42-47(切断・機能障害)クラスの選手たちの結果です。
男子競技結果
男子トラック競技
T42 男子 100m(+1.0)
金井 隆義 18’12
T43 男子 100m(+0.2)
中村 国一 13’80
T44 男子 100m(+0.2)
笠松 大聖 13’18
T47 男子100m(-0.3)
鈴木 雄大 11’64
T43 男子 400m
中村 国一 1:15’36
男子トラック競技、いずれの選手も初の海外遠征。
鈴木選手、大幅に自己ベストを更新するいい記録を残しています。これで公式戦2戦目ですと⁉︎
金井選手、ローテーションの記録は非常に貴重。正直「ローテーションってこれぐらいのタイムで走るんだ…」とはじめて知りました。
男子跳躍競技
T47 走幅跳
芦田 創 6m68(-2.0)
鈴木 雄大 6m14(+0.0)
T47 三段跳
芦田 創 13m72(-0.8)
芦田選手、走り幅跳びでは今期世界3位、三段跳びでは日本記録に迫る結果と、調子がいいようです。
本人が話すとおり、7m台のジャンプが出れば、世界選手権でメダルを獲得する可能性も出てきます。
鈴木選手、4月から本格的に陸上をはじめたということはまだ競技経験は1ヶ月程度で公式戦は2試合目の出場。
にもかかわらずこの記録は驚きです!
男子投擲競技
F42 砲丸投
牧野 庸平 8m86
F42 円盤投
牧野 庸平 22m38
F44 やり投
笠松 大聖 34m22
牧野選手、F42砲丸投、円盤投では日本人として久々の記録を残しました。
また、日本人でF44やり投を見るのもはじめて。
種目の幅が広がってきますねー。
女子競技結果
女子トラック競技
T42 女子 100m(-0.2)
兎澤 朋美 19’32
村上 清加 DQ
T47 女子 100m(-0.2)
三須 穂乃香 13’45
怪我をしているということですが、初海外遠征の兎澤選手、いきなり20秒を切る記録を残しています。
無理はしないでいただきたいところですね。
三須選手もシーズンベストということで、徐々に調子が上がってきています。
女子跳躍競技
T/F42 女子走幅跳
村上 清加 3m09(+1.4)
兎澤 朋美 2m71(-0.3)
女子投擲競技
F47 やり投
三須 穂乃香 13m85
三須選手、投擲やるんですね。
まだ若い選手、新しいことに挑戦しています!
裾野が広がり、高め合う環境が生まれつつある
初海外参戦の選手が多く、パラ陸上の裾野が広がってきています。
これは今回の北京グランプリだけではなく、大分パラ陸上の時から感じていたことで、今まではほとんど知っている選手だけだったところが、顔や名前を知らない選手が増えてきました。
また、2020東京パラリンピックまで時間があることから新たな種目に挑戦したり、いろいろと試している選手も多いですね。
裾野が広がって競い合いが生まれ、選手同士が高め合ってレベルが向上していく。
そんな環境が日本でもできつつあり、パラ陸上が盛り上がって2020東京パラリンピックを迎えるような兆しを感じる今年のシーズンです。
自分もその中にいながら、楽しんでいきたいと思います。
それでは、また。