香川大の「義足でも中腰簡単」な人工膝関節開発がニュースになっています。
義足でも中腰簡単 香川大が人工膝関節開発 製品化へ|オリパラ|NIKKEI STYLE
「義足でも」「人工膝関節」ときているので、膝継手のことですね。
この膝継手がどんなもので、なにができるようになるのか。
ユーザー目線で勝手に妄想していきます。
どんなもの?
膝関節を深く曲げる際に、必要以上に曲がり過ぎないよう制御する歯車を組み込んだ。曲げる途中で止めることができ、その姿勢を保てるようにした。
従来の膝継手では膝が伸び切らない状態で地面がついてしまうと、体重を支えられず「膝折れ」が発生してガクンと膝から崩れ落ちるように転倒してしまいます。
これが今回開発された膝継手では曲げた途中で姿勢を維持できる、つまり中腰が簡単にできるということですね。
「実験では膝を曲げた状態で片足のみで体重を支えることに成功した」ともあります。
なにができる?
それでは、中腰が簡単にできるこの膝継手でなにができるのか、ユーザー目線で勝手に妄想してみます。
100%勝手な妄想です。
1.地面のものが取りやすくなる
中腰が簡単にできると、地面のものを拾うときは確かに楽ですね。
今は曲がったままで体重支えられないので健足でほぼすべての体重を支えています。
ただ、地面のものを拾うシーンがどれほどあるかは…微妙ですね。
2.階段が登れる
従来の膝継手でも、自分の筋力で膝折れを抑え込める超人レベルの大腿義足ユーザーは登れちゃいますが、より楽に登れるようになれば、助かる人は多いですね。
しかし股義足は、自分で義足を振り上げることができないため、いずれにしても物理的に不可能。
こういうこと、よくあるやつ。
大腿義足までは考えられてるけど股義足のこと忘れられてるケース…
3.より自然に歩ける
大腿義足以上の歩き方は基本的に「膝が伸びきった状態で着地する」です。
歩いているとき、健足は膝が完全にまっすぐ伸び切ることはなく、少し曲がった状態なので、それに近いより自然な歩きになるかもしれません。
従来も曲がったままでも少しの間なら体重を支えられるイールディングという機能を持った膝継手はあり、私は常にイールディングを効かせて歩いています。
イールディングとはまた違った歩き方になる可能性がありますね。
それがより自然なものであるなら、大きなメリットとなります。
4.スノボができる
中腰姿勢が基本なスノボでは格段に楽になりそう。
雪にぶち当たっても持ちこたえられるかもしれません。
これは期待できそうです。
このポイントだけでも早く製品化してほしい…
5.和式便所を克服できる
膝がないレベルの切断者にとって天敵ともいえる和式便所。
できなくはない(経験済み)ですが、めっちゃしんどいです。
その体勢はまさに中腰。
これは長年の戦いに終止符が打たれる予感。
6.走りが変わる
記事でも言及されていますが、膝が曲がった状態で義足側で地面を蹴れるということは、大腿義足以上の走り方が根本的に変わる可能性があります。
股義足の場合、動かせる範囲が非常に限定されるので、どこまでの効果が見込めるかは未知数ですが、大腿義足では大きな変化が起こりそうです。
いろいろな可能性。期待して見守りたい
さて、いろいろ勝手に中腰できることでなにができるようになるか妄想してみました。
個人的に現時点では今のところ、「スノボができそう」がポイント高いですね。
「地面のものが拾える」「和式便所を克服」は使いどころ少ないし、今でもなんとかなっちゃいますから。
「より自然に歩ける」「走りが変わる」は未知数ですが、もっとも期待できることといえるでしょう。
ここで従来のものより優れている点が出せれば、大きなメリットになるでしょうし、大腿義足以上の運動能力が向上することにつながります。
「階段登れる」は残念ながら股義足の私にとっては縁がありません。
「中腰が簡単にできる」という特徴だけでなく、こんな機能を持った膝継手を安価に提供できることもまたメリットで、高価な部品を手に入れることができない発展途上国への義足の普及に貢献できるでしょう。
オットーボックやオズールなどトップメーカーも興味を示しており、この仕組みを応用することで、広く膝継手が発展していく可能性は十分にありますね。
いずれにしても、義足ユーザーにとってよりよい部品の可能性が出てきたのは喜ばしいこと。
期待をもって見守っていきたいですね。
それでは、また。