ポイントを整理していきます。
まず、ソケットの調整で最重要なのは坐骨・義足側腰骨・健足側腰骨の3点です。
この3点がフィットしていないと安定せず、体の動きに義足がついてきません。
細かく見ていきます。
■坐骨
全体重がかかるため装着感に影響が大きく、しっかり坐骨に体重を乗せるため、隙間なくきつすぎずフィットしていることが重要です。
平らに作るのが一般的なようですが、坐骨の形に合わせてパッドですり鉢状に仕上げてもらっています。
また、自分は可能な限り小さく仕上げてもらっているので、坐骨が滑り落ちないギリギリの調整です。
■義足側腰骨&背中
体の動きを義足に伝えるのは義足側腰骨の引っ掛かりが重要です。
なので、義足側腰骨にはソケットが引っかかるようにがっつりパッドを盛ってせり出させます。
義足を横方向に浮かせてみて、しっかり腰骨にソケットが引っ掛かり、義足が体の動きについてくるかチェックします。
背中はどうしても隙間ができます。
ここも隙間なくきつすぎずフィットするようにパッドで調整します。
■健足側
義足を長い間つけていて、一番痛くなることが多いのは健足側の腸骨稜です。
パッドを盛ってできるだけ当たりを柔らかくします。
また、健足側のソケットの淵が体に食い込まないように、少し淵を広げ(フレア)ます。やりすぎると不必要にソケットが大きくなってしまうので最小限に抑えてもらっています。
■ソケット前面
自分はバンドをものすごくきつく締めるので、バンド部分は相当に強度をつけるように強化しています。
まず丈夫な上下2本のバンドを使い、金具もそれぞれ2重にしています。
バンドも金具も引きちぎったことがあるので。
そして逆側のバンドを留める側も鋲をいくつも打って強化しています。
また、外装は前後でゴムで留めますが、前は隙間ができないようにきつく留めます。
■ソケット背面
外装留めるゴムの背中側ですが、こちらは脚の振り出しに影響しないようにだるだるにたるませます。ゴムが脚の振り出しに干渉してしまうと、思ったように脚が出なくなってしまうため危険です。
毎回こんな感じでソケット調整をしています。
最後に覚え書きがてらポイントをまとめます。
・坐骨が隙間なく、きつすぎずフィット
・坐骨が滑り落ちない
・義足側腰骨にしっかり引っかかり、体の動きについてくる
・背中が隙間なく、きつすぎずフィット
・腸骨稜の当たりを柔らかく
・健足側のソケットの淵は少しフレア
・バンド、金具、鋲など留める部分を強化
・外装留めるゴム前側はきつく隙間が出ないように
・外装留めるゴム背中側は動きに干渉しないようだるだるにたるませる
以上、自分なりの調整のポイントをまとめさせて頂きました。
股義足では一般的に使える部分も多いと思いますので参考にして頂ければと思います。
コメント
先日、三年目にして漸く本義足になりました。今度はPTのU先生のアドバイスにより、歩いているときに膝が曲がらない仕様になりました。
僕のように健足の筋力の弱い人間は、この方が安定感が出るようです。
確かに坂を下りるときなど、膝が折れる心配がないので、前より安心して足が出せる気がします。
自分に合った部品を選ぶこと、自分に合った調整をすることが改めて重要だと思いました。
安全重視なら固定するタイプもいいと思いますよ。
何を重視するかや、体力によってその人にとってよい選択肢は変わってくるので、やはりよく義肢装具士さんや理学療法士さんと相談して決められるのが大事だと思います!
野田さん コメントありがとうございます。取りあえず膝の折れないタイプで慣れたら、今度は仮義足の膝が曲がる継手を使って、もうちょっと自然に歩けるようになればそこがゴールです。
いま義肢装具サポートセンターには股義足の方がわりと多くて、僕のようなものでも行くと履き始めの方からはアドバイスを求められます。
僕じゃなくて野田さんに聞いた方がよほど役に立つのになぁと思いながら、教えられる範囲で、アドバイスしています。
女性で立ち仕事をしなければならないなんていう方が一番大変なような気がしますが、そういう人は他の人よりもかなり頑張って練習しているように見受けられます。