[Release]世界最速の競技用義足の開発を行うXiborg社が全米チャンピオンと契約
セイコーゴールデングランプリで優勝を果たし、T44クラスで2016年全米チャンピオン、世界ランキング2位の成績を残しているウォレス選手が日本のXiborg社と契約しました。
世界最速の義足を目指すXiborg社。
今回のウォレス選手との契約で、「世界最速の義足」は夢物語ではなく現実的な目標となってきます。
かつてF1でホンダが世界一だったように、義足陸上界で日本の技術が世界一になるか。
2020年東京パラリンピックで日本製義足を履いた選手が金メダルを獲得する、そんな可能性が現実味を帯びてきました。
日本の技術が世界と戦う、わくわくしますねー!
2社独占の陸上用義足に日本のXiborgが参戦
世界の義足メーカーでは、オットーボック(ドイツ)とオズール(アイスランド)の2社が大きなシェアを占めており、陸上用義足の世界でも同様に、この2社がほぼ独占している状態です。
たとえば、健常者に迫る勢いのT44走幅跳のマルクス・レーム選手はオズールの義足を履いており、リオパラリンピックで山本篤選手と激しい争いの末金メダルを獲得したT42ハインリッヒ・ポポフ選手はオットーボックの義足を履いています。
ちなみに、私はオットーボックの競技用義足を履いています。
そんな2社独占の状態の中、Xiborgは2016年から競技用義足に参入しています。
リオパラリンピックでは佐藤圭太選手がXiborgの義足を履き、T42-47 100×4リレーで銅メダルを獲得しました。
世界最速に手がとどく選手が日本製義足を履く
セイコーゴールデングランプリの競技の模様です。
この5月に契約を発表し、今回の試合からXiborgの義足を履いているというウォレス選手。
リオパラリンピック銅メダルのフェリックス選手を破り、1位でフィニッシュしました。
試合後のインタビューです。
Xiborgと契約したことにも言及しています。
ウォレス選手は本当に世界一に届くレベルの選手です。
2015,2016年全米チャンピオン
2016年リオパラリンピック5位
2016年世界ランキング2位
昨年の世界ランキングは2位で記録は10’71と、1位のピーコック選手とはわずかに0.03秒差。
まさに世界最速に手がとどく位置にいる海外の選手が日本製の義足を選んだという事実に興奮してきます!
設立からわずか2年で製品を世に出したXiborg
Xiborgは2014年、ロボット義足のエンジニア遠藤謙が設立しました。
「技術の力で障害の概念を変える。」ロボットの研究から義足開発へ転身した遠藤謙のライフストーリー | LITALICO(りたりこ)発達ナビ
私は2013年に彼がMITから日本に帰国した頃知り合って以来の友人です。
2014年にXiborgを設立し競技用義足の開発を開始したことは知っていましたが、2020年東京パラリンピックにギリギリ間に合うかどうかだと思っていました。
開発中、試作品を履いた選手に「なんか”バイ〜ン”としないんだよね」バッサリ言われたこともあったようです。
「”バイ〜ン”としない」、履いてる人にはなんとなくわかりますが、そんな感覚的なフィードバックを汲み取って対応するにはさまざまな苦労があったことは想像に難くありません。
ところが彼は2016年のシーズンインに製品化を成し遂げ、協力して開発を進めてきた佐藤圭太選手とともに陸上用義足をパラリンピックの舞台に送り込みました。
私はその開発のスピードと技術力に驚き、彼の「世界最速を目指す」という言葉は大きなことを言っているわけではなく、本気なのだと感じました。
そして今回のウォレス選手との契約は世界最速に向けてさらに大きな一歩を踏み出したものとなるでしょう。
また、彼そしてXiborgは「テクノロジーを通じてすべての人に動く喜びを」というスローガンをかかげ、ロボット用義足の開発や陸上用義足の普及に向けた活動も行なっています。
その活動の一環として、Xiborgは現在「義足の図書館」を作るためのクラウドファンディングを実施中です。
ぜひご協力をお願いします!
誰もがランナーに!世界初、義足の図書館を僕らの力で作りたい! – クラウドファンディング Readyfor (レディーフォー)
世界最速を目指す一方で、スローガンどおり「すべての人」にテクノロジーを届けることを忘れていない、彼そしてXiborgの活動をこれからも応援していきたいと思います。
日本製義足が世界最速を目指す。2020年、義足界のホンダは出るか?
日本で陸上用義足の開発を行なっているのはXiborgだけではなく、他にも開発を行なっている企業は存在します。
それらの企業も目標にしているのは2020年、東京パラリンピック。
かつてF1ではホンダが世界一だった時代があり、そのころ日本の技術は文字どおり世界最速でした。
2020年東京パラリンピック、日本製義足が世界最速となる、そんな未来も夢ではありません。
選手ももちろんですが、日本の技術が世界と戦う、わくわくしますね。
義足陸上、日本の技術にも注目ください!
それでは、また。