私は入院当時、ここまでできたら退院というリハビリのゴールを、「杖なしで歩けること」と設定していました。
これは、自分の日常生活を考えた時、支障なく日常生活を送るために必要なレベルが「杖なしで歩くこと」だと感じたから。
カバンを片手に持ち(スーツにリュックは自分的にしたくなかった)、雨が降ったらもう片方の手で傘を持つ。
これで両手がふさがるので杖は持てない、というのが「杖なしで歩けること」をゴールとした理由です。
もちろん、ご自身のライフスタイルによって何をゴールとするかは異なってきますが、その「退院までのゴール」を適切に設定することの重要さについてお話します。
入院リハビリには限界がある
まず、自分は入院中にできることには限界があると思っています。
日常生活ではいろんなシーンに出くわします。
長い距離を歩いたり、公共交通機関を使ったり、あるいは悪天候など。
こういった細々したシチュエーションは入院中は経験できず、退院して日常生活に戻って身をもって経験した方がてっとり早いと思っています。
実際、私はリハビリのゴールを「杖なしで歩けること」に設定してそれがクリアできた時点で日常生活に復帰することを決めました。
そして会社に戻る前に2週間程度日常生活で色々なシチュエーションを経験してから会社に復帰しました。
日常生活ではあらゆるケースに遭遇します。
それらすべてに対応することは不可能。
入院リハビリには限界があることを把握した上で退院までのゴールを設定することがよいでしょう。
高すぎるゴールは復帰を遅らせる
また、高すぎるゴールを設定されているケースもあります。
たとえば「走ること」や「自転車に乗れること」など。
上の2つはいずれも不可能なことだとは思いません。
しかし、これができないと退院できない、というリハビリのゴールとしては高すぎる目標のような気がします。
高すぎる目標は退院、つまり日常生活への復帰が遅くなることにつながります。
私は日常生活に戻って、生活を送りながら色々なことを経験していく方が効率がよいと考えています。
本当に自分の日常生活で必要なものはなにか、それはどうしても入院中にできるようになっておかないといけないことなのかを考え、「できなくてはならない」をゴールにし、「できたほうがよい」は復帰してから徐々にできるようになっていけばよいのです。
日常生活しながらレベルを上げる
最低限のことができるようになったら日常生活に戻って、生活を送りながら色々なことを経験していく方が効率よく義足レベルが上がっていきます。
自分自身もそうでした。
最初は出かけるのが怖かったりもしました。
外出して目的地までたどり着けても、戻ってくるまで体力がもつか。
途中で動けなくなったらどうしよう、など不安でいっぱいな中、一つ一つやってみて不安を解消していきました。
経験上、日常生活に戻ってからわかったり、身につけたことが多いと感じています。
退院後の生活の方がはるかに長いはずです。
日常生活しながらレベルを上げる、こうすることでできることを増やし、より充実した生活を送れるようになっていくことに繋がります。
適切なゴールを設定しよう
いかがだったでしょうか。
リハビリのゴールは日常生活に戻る最低限のことを目標とし、それ以上のことは日常生活の中でいろいろなことを経験したり挑戦したりしながらレベルを上げていく、これが効率のよい考え方です。
そのために、日常生活に戻るうえで「できなくてはならない」をリハビリのゴールとし、「できたほうがよい」は日常生活でいろいろなことを経験してレベルを上げていく中でできるようになっていけばよい、というのが私の考え。
リハビリ中の方、これからリハビリに入られる方はぜひ参考にしてください。
それでは、また。