日本一攻めてるバラエティといわれる「バリバラ」。
これまでの障害者に対するイメージを次々と壊し、「感動ポルノ」を否定し、障害者のリアルを「笑い」という切り口を交えながら伝えていく、障害者やマイノリティによるバラエティ番組です。
前身である「きらっといきる」から何度か出演させていただいて、友人の大西瞳ちゃんが番組MCを務めているなど関わりもあります。
「きらっといきる〜義足ってカッコいい!」に出演した時のひとコマ
そんな「バリバラ」を生み出したプロデューサー日比野さんのインタビューを紹介します。
日本一攻めているバラエティ「バリバラ」はどうやって生まれたのか?
障害者バラエティ「バリバラ」が「やっちゃいけない」を突破できた理由
インタビューで語られている、障害者が抱える状況への一つのとらえ方は、私の考え方と合う部分が多い。
バリバラがやろうとしている「これまでのイメージを覆していく、そしてそこに新しい価値を見出して、新しいものを生み出したりしていく」。
その動きは世の中にたしかにあらわれてきているし、変化は起こりはじめています。
そんな変化の中にいることを私は楽しみにしています。
障害者は同じ世界にいる
われわれが伝えたいのは、障害者をはじめとするマイノリティの人たちは、決して自分たちと別世界にいるんじゃなくて、同じ世界にいる人たちなんだということなんです。
テレビを見ていると、障害者が登場することはほとんどありませんよね。
それに登場した場合、その理由は障害について取り上げられることなんです。
それしかないってすごく不自然だなって。
別に理由もなく、障害を持った障害者って社会の中にいるんですよ。
日本の人口のおよそ6%も。(平成25年度版 障害者白書)
それに障害者にとって、障害がすべてなわけじゃない。
むしろ一人の人間の一部分、ある特徴にすぎないんです。
私も義足のことばっかり考えてるわけじゃなく、むしろほとんど考えてないですし。
ふだんの生活で、ほとんど義足のこと考えていません。
障害者は理由もなく社会にいるわけだし、一人の人間のある特徴にすぎないわけだから、障害と関係なく表に出てきてもいいし、自然に扱われていいんじゃないかな。
軽やかにいきたい
障害に起因する困難な問題を抱えて苦しんでいる人はいて、それを解消しようとする運動はもちろん意義のあるものです。
ただ、「こぶしを振り上げるのが障害者運動じゃない」というのは同感です。
ちょっと付け足すと「こぶしを振り上げる”だけ”が障害者運動じゃない」という感じでしょうか。
自分は障害者ですが、自分の障害についてまったく重くとらえていません。
そういう人もいるんですよ。
自分のスタンスとしては、できるだけ自分の障害についてもフラットに語りたいし、軽やかにいきたいな、という感じです。
多様性と寛容さ、個別性
『多様性』と言う時に、どれだけ寛容であるかというのがセットで語られるんですけど、もう1つ、『個別性』というのが大切だと思っているんです。われわれが本当に多様な、いろんな人がいるというのは、個別性がそれぞれにあるから。
「多様性」「寛容」私も大好きな言葉です。
インターネットや交通、経済の発展でどんどん世界は狭くなり、性別や国籍、宗教、性的指向などさまざまなバックグラウンド、多様性が混ざり合う世界になってきています。
そんな世界で大事なことは多様な価値観、多様性に寛容であることだと常々思っています。
また、私は障害の有無も多様性の中のひとつの属性ととらえています。
障害者は障害の有無という切り口ではマイノリティではあるけれども、その他の多様性を受け容れることにも目を向けることも必要と感じます。
また、「個別性」。
忘れてはいけない観点です。
よく「その人の立場になって考える」と言いますが、それだけでは足りない。
「その人の立場になって”その人の価値観で”考える」ことが大事だと常々思っています。
人それぞれパーソナリティは異なるので、たとえば同じ義足で状況は近いとしても、自分の価値観で判断していては、その人の気持ちを理解することはできません。
これは自分自身への戒めでもあります。
ついつい自分は軽く考え過ぎてしまうたちなので、人の話を聞いたり相談に乗る際には、その人の立場で、その人の価値観に沿って、考えていくことを忘れないようにしていかなくてはなりません。
答えのない問いを発し続ける
僕らはほんとに疑問形でいいと思っているんです。答えを出すつもりは全くないので。それぞれが考えなきゃいけない。
ほんとに答えはないんです。
一人一人考え方や価値観、状況も異なりますし、最大公約数が解決になるとは限らないので。
それぞれが答えのない問いを発し続け、考え続けていくこと、これしかない。
それこそが大事なんだと思います。
世の中は変わりはじめた。その変化を楽しみたい
これまでのイメージを覆していく、そしてそこに新しい価値を見出して、新しいものを生み出したりしていくということだと思うんですよね」
まさにバリバラがやられてきたことですし、私は悲観はしていません。
私は障害者になってまだ9年。
語るには知らなさすぎるという方もいらっしゃるでしょう。
ただ、私には健常者と障害者、両方の目線を知っているという強みもあると思っています。
この9年の間にも世の中が変わり始めていると感じています。
インターネットによって今まで知られることのなかった情報が広く知られるようになったこと。
バリバラのような番組ができたこと。
パラリンピック(障害者スポーツ)がより広く取り上げられるようになったこと。
これらはその世の中が変わり始めていることのあらわれだととらえています。
まさに、「これまでのイメージが覆され、そこに新しい価値が見出され、新しいことが生み出されていく」その動きは加速していきます。
そんな変化の中にいることを、私は楽しみにしています。
それでは、また。