切断~復帰経過:あとがきー脚を失い、ふたたび義足で立ち上がるまでの記録。

 

数ヶ月わたって書かせて頂いた、切断から職場復帰を果たすまで半年間の経過。
ここで一旦、区切りとさせて頂きます。

長い話にお付き合い頂きありがとうございました。

何不自由なく生活していた日常から一転、生死の境目に叩き落とされ、左脚切断、右脚大怪我、くも膜下出血と、事故に遭った当初は先のことが考えられませんでした。

それでも前を向いていられたのは家族、友人、職場の方々、そして出会った病院関係者の皆さん、義足仲間の支えがあってこそ。
言葉では言い表せない程感謝の気持ちでいっぱいです。

つくづく、自分は恵まれています。
半年間を振り返り今、周りの方々によって最良の道に導いて頂いたのだと思います。
それは復帰後も変わらず、今も周りの方々に導かれて進んでいっています。

あの半年間は自分の人生最大の転機。
多くのことに気付かされ、自分の価値観が大きく変わりました。
入院してしばらくは「なぜ死ななかった?」という思いが頭をよぎる日々でした。
それが時が経つにつれて「生きててよかった」に変わってきました。

苦しくても。思いどおりにいかなくても。
「現状は変えられない。今自分にできることをやろう」ともがいた日々がそう思わせてくれたのだと思います。

人それぞれ、置かれている状況も、その人の感じている辛さや思いも違います。
目指すゴールも、人によって違います。
同じように脚を切断するという経験でも、自分の体験がそのまま他の人に当てはまるものではないと思っています。
切断後間もない方にいつもお話させて頂くのは「焦らず、今できることをやってください」ということです。
しかし、自分はこんな人もいるという一つの可能性を提示することで、情報を受け取った方が少しでも前向きになるきっかけになればと思い、経過を綴ってきました。

これからも、自分の経験や活動をお伝えすることが一人でも多くの方が前向きになれるきっかけとなればと思い、「伝えること」を続けていきます。

私が提供する情報を受けて思われることがあればコメントやメッセージをお寄せ頂ければと思います。
できる限り回答させて頂きますし、望まれるのであればお会いして直接話をさせて頂ければと思います。

■メッセージフォーム
https://gohdp.net/message/

自分がこうして経験を綴り、お話したいと思っているのは、自分自身が義足仲間に助けられ、その存在の大きさを知っているからです。
かつては自分も義足になりどうなるかわからなくて不安でした。
そんな中、活き活きと前向きに過ごし、同じ立場で話ができる義足仲間と出会い、「一人じゃない」と気付き、力をもらってきました。

今度は自分がもらったものを返す番だと思っています。
不安や悩みを感じておられる方の力になりたいと思っています。


最後に、この半年間、そして復帰後の生活を通じて自分が感じていることを挙げさせて頂きます。
「物理的に不可能なこと以外はあきらめない」
「現状は変えられない。今自分にできることをやる」
「怖くてもやってみる。できないならできる方法を考える」
「失ったものは脚しかない。得たものだってたくさんある」
「意思あるところに道は開く」
この自分の体験を読まれたことがきっかけとなって、一人でも多くの方が自分らしく、前向きに人生を送っていかれることを願ってやみません。


どうもありがとうございました。
そして、これからも宜しくお願い致します。

切断〜復帰経過:まとめ

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コメント

  1. TI より:

    こんにちは、こちらへの投稿は初めてですが、先月、弘済会でお目にかかった母のほうです。
    連載?お疲れさまでした。
    先日も申し上げましたが、本当にずっと、自分は野田さんのストーカーではないかと思うくらい隅から隅まで何度も読ませていただいておりました。(笑)
    原因は違いますが、子供が股義足となり、あまりの情報の無さ、たまに検索に引っかかっても股義足では上手く歩けない人も多いという暗くなるような内容を見たりしていた時に、歩くどころか走ってまでいる方がいらっしゃるというのはどんなに心強かったことか。
    野田さんだからこそ、その努力故できたことも多いかと思いますが、やっている方がいらっしゃる以上可能性はあるんだと、最初からあきらめる必要はないと希望を捨てずにいられました。
    きっと同様に勇気づけられた方はとても多いと思います。
    また、日常のことなども参考になったことがたくさんあります。
    このブログを開設してくださって本当にありがとうございました。m(__)m
    これからも読ませていただきますね。

  2. 野田 隼平 より:

    こんにちは〜
    コメントありがとうございます。
    隅から隅まで見て頂いているとはやってる甲斐があります↑
    ここまで環境に恵まれて運がいい自分だから、情報出す役目があるんだろうなと思ってやっています。
    普通に生活できていることすら、なかなか想像つかなかったりしますしね。

    自分の話は一区切りなので、また義足の日常情報も書いていこうと思っています。
    今後ともよろしくお願いします!

  3. 臼井さん より:

    確かに股義利用者ユーザの手記はとても稀有で貴重ですね。身体面、精神面、医学面そして義肢の専門面といろんな角度から丁寧に綴ってくれたことは価値のあることと思います。途方にくれている方たちのバイブルです。本当にご苦労様でした。やはりブログはイイですね。FBookだとせっかくの情報も流れてしまうしね。

  4. 野田 隼平 より:

    ありがとうございます!
    元々ブログは誰でも見れる場所で多くの人に向けて情報発信するのが意味があると思って始めたんです。
    股義足の情報は本当に少ないですし、股義足に限らず義足ユーザーにとって何か有用な情報をお伝えできればと思って。
    この切断から復帰の経過は自分の経験から、その時の思いややってきたことなどをできるだけ盛り込んだつもりです。
    本人や周りの方が切断になって悩まれている方に読んで頂きたいです。
    ありがとうございました!

  5. 匿名 より:

    初めまして。
    仕事で悩んでおり、色々検索している中で貴方のブログに辿り着き、全て読ませていただきました。貴方の勇気、決して諦めない芯の強さ、逃げ出さない姿勢、心から尊敬致します。不安だけど工夫しながらやってみる、物理的に難しい場合以外は諦めないという言葉に心を打たれ、涙が出ました。体に何かあるわけではない自分、だけどすぐにできないとメソメソしている自分が恥ずかしくて仕方ありません。野田さんのように強く生きていけるよう、自分も頑張りたいと思います、

    見ず知らずの方ですが、野田さんの歩んでいく道が幸せなものでありますように。心から祈っています。

  6. 野田 隼平 より:

    コメントありがとうございます。
    自分はそんなに立派な人間ではありませんがw
    前向きに何かを感じて頂けたのであれば幸いです。
    お互い、頑張りましょう↑

  7. 匿名 より:

    初めまして、nagaseと申します。素晴らしいブログを読ませていただきました。

    私は31歳の時に右足を病気で切断し、股義足を利用して10年目に入ります。
    きっかけは異なりますが、切断~日常生活にいたるまで・・・書かれていた内容のほとんどに共感させていただき、読み終わった後、じわ~と胸に迫るものがありました。

    偶然、股義足で走る野田さんのことをお聞きし、このブログへたどり着きました。
    この義足で”走る”なんて考えも及びませんでしたから、実際にトライしている方がいるなんて!びっくりしました。

    まだまだこの義足には秘めた可能性があるかも!と思いました。
    改めて、日常生活を少しずつ見直してみようと思います。

    10年目の節目に、素敵なブログに巡り会えました。ありがとうございます!
    これからも、頑張ってください、私もたくさん歩いて行きたいと思います。