世界で一本!短距離陸上専用股義足のすべてを明かす!

現在のところ、股義足でIPCランキングに載っているのは私一人。

股義足でマラソンやトレイルランをしている超人はいますし、試合には出ていないけれども股義足で走ることができる人は、日本に子どもから大人まで数名私以外にもいます。

ただし、私以外で短距離を走っている人は日常用義足にストッパーを装着したり、部品を交換したりして走っており、短距離陸上専用の股義足は、世界で一本だけでしょう。

すごいことなのか、私がただの変態なのかわかりませんが、世界に一本しかない短距離陸上専用の股義足のすべてを公開します!

もし走ってみたいと思っている股義足の方やその身近にいる方はご参考にしてください。

股義足は他の義足よりも大きく部品も多いため調整や工夫する範囲が広く、また世界に一本しかないのでどんなセッティングが正解なのかもまだわかっていません。

しかし、走りはじめて以来構成はほとんど変わっておらず、工夫の余地はまだまだあるはず。可能性はまだまだ広げていけるはず。

アイデアあればお教えいただけると幸いです!

より自然に、より速く走るための股義足を作るために。

ご協力のほど、よろしくお願いします!

全体像。想像よりもでかいんです。

ソケットから足先まですべてが短距離陸上専用の股義足、まずは正面から全体像を見ていきます。

単体で見るとサイズ感がよくわかりませんが、股義足のソケットから足先まではかなりの長さになります。

ソケットの最上部は肋骨に当たるほど。

膝継手から2つに分解してやっと大きめのスーツケースにおさまるぐらいの大きさです。

股継手のアライメントは普通の日常用義足と同じに作ってあるそうです。

【ここがポイント!】

一方、足先が開き気味になるように膝継手のアライメントが調整されているのがわかりますでしょうか。

これはアライメントをまっすぐにすると、足先で健足と義足の距離がほとんどなくなり、走っていると健足と義足がぶつかってしまうため、健足と義足の距離が取れるよう、膝継手のアライメントで足先を開き気味にしています。

横から見た図です。

膝継手のアライメントはかなり反跳気味になっていますね。

これはいろいろと試していてまだ正解がどこかわかっていないのですが、今のところこれぐらい反跳にしています。

改めてみると、もっとまっすぐになるようにしてもいいかもしれません。

まっすぐに近くするとそれだけ膝折れしてこけやすくなるのですが、陸上短距離ではまっすぐ前に走るだけの動作しかしないので、もう少し攻めたアライメントにしてもよい気がしてきました。

ソケット。日常用とあんまり変わらない

ソケットも型取りは日常用とほとんど変わらず、安定するようにバンドを二重にしていることも同じです。

ちょっと違うのはソケットの内側。

日常用よりも激しい動きをするのでより体にフィットするように隙間をパッドでできる限り埋めています。日常用でここまで隙間を埋めてきつくしてしまうと、長時間履いているのが辛くなってくるでしょうね。

短距離用股義足一番の肝、股継手

股継手が短距離陸上用股義足、一番の肝です。

【ここがポイント!】

陸上専用の股継手やソケットを持っていない人は、日常用義足の股継手を動かないように紐などで固定して使っていますが、私は少しだけ動いてストッパーで歩幅制限がついている股継手を使っています。

【陸上用股義足】股継手発見!これを使えば股義足でも走れます。
長らく見つけることができず生産中止ともいわれていた、自分が陸上用の義足で使っている股継手が見つかりました。 (藤田さんありがとうござい...

昔は日常用義足で使える部品の対象にも入っていて、私は仮義足で日常用義足としてこの股継手を使っていたのですが、これが実は走ることに非常に向いていたという幸運があり、走りはじめて以来ずっとこの股継手を使っています。

【ここがポイント!】

取り付け方に特徴があります。

股継手がソケットに取り付けられている後方は、皮が使われています。なぜこうなっているのか、それは正直私にもわかりません…日常用の仮義足の頃からこうなってました。

もう一点、特徴があるのが歩幅制限をしているストッパーの部分、もともとはゴム製の部品です。

それが走る動作で激しくストッパーにぶつかってすぐにゴムが割れてしまうので、ストッパーの先端部分にはこちらも皮を使っています。

皮は丈夫で壊れないのがいいところですね。

ちなみに、マラソンや長距離を走る選手はより安定して走ることが求められるためか、股継手はつけずにソケットにパイプを固定したような形の義足を使っています。

膝継手、脚が自分で振れない制約あり。

膝継手は数年前まで多くの大腿義足の選手が使っていたオットーボック3R95の旧型の3R45です。

今では大腿義足の選手はほとんどスポーツ用の膝継手3S80を使っており、自分も数年前試したこともありました。

【ここがポイント!】

3S80は自分の力で義足を振ることができる大腿義足の選手が走るのには向いているのですが、自分の脚を振ることができない股義足とはあまり相性がよくない、という結論に至ったため、油圧の力で脚が振れる3R45を使い続けています。

3S80はまた改めて試してみたいものではありますね。

足部(板バネ)、無限のスペースを活かしたい

板バネはオットーボックのスプリンターを使っています。

カテゴリーは2で男性としては柔らかいのですが、蹴る力が弱いためこれ以上硬いカテゴリーの板はおそらく使いこなすことができないと思います。

もうスプリンターを履いて4-5年が経ちます。耐用年数!

実費なので痛いところですが、試してみたい新しい製品も出てきているので、いろいろ履いていようと思っています。

【ここがポイント!】

板バネは断端が長かったり、身長が足りなかったりすると長すぎて入らないということが大腿義足の選手ではよくあるのですが、私は股関節から無限とも言えるほどのスペースがあり、(長さ的には)どんな板バネでも履けると自負しております!

私のこだわり。より自然に走りたい

私が股継手も膝継手も曲がる部品を選択しているのですが、股義足でマラソンを走っている選手や他に走っている人は関節を固定している場合の方が多いです。

速さを追求するなら、ひょっとしたら固定の方が速い可能性もあるでしょう。

しかし、あえて曲がる部品を使っているのには「より自然に走りたい」という自分なりのこだわりがあるからです。

人には本来関節があるもの。

足を失くしてしまったとはいえ、同じように曲がる関節を使ってより自然に走りたい。

まだまだ自分の走り方は自然というには遠いものかも知れません。

それでも、走ることなどできないと思われている股義足が走るからこそ、速さだけではなくより自然なフォームにこだわり、関節を曲げて走ることは譲らない。

少しでも理想の形、自然なフォームに近づくよう、これからも走り続けます。

そのために、お気付きの点やアイデアなどあればお教えいただけると幸いです。

どうぞよろしくお願いします。

それでは、また。

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